2011年2月号





*花粉症対策*



☆花粉症の時期到来!!☆        


花粉症とは、T型アレルギーに分類される疾患の一つです。
植物の花粉が原因で 『くしゃみ』『鼻水』『鼻詰まり』『目の痒み』などの症状がでます。
これらの4つが『
花粉症の4大症状』と呼ばれます。

現在、日本国民の15%以上が花粉症であると言われています。
原因となる主な植物の花粉飛散時期の目安は以下です。
スギ(2〜4月)、ヒノキ(3〜5月)、カモガヤ(6〜7月)、ブタクサ・ヨモギ(8〜9月)

☆病院で出される花粉症のお薬の一例

★抗ヒスタミン薬:アレルギー反応を仲介する化学物質・ヒスタミンの作用を抑えることで、くしゃみや鼻水をやわらげる。即効性が高い。

★抗アレルギー薬(遊離抑制薬):色々なアレルギー反応を仲介する化学物質をおさえます。効果が出るまで2〜4週間ほど掛かる。

★Th2サイトカイン阻害薬 :アレルギーに関係する物質の産生をおさえます。

★ロイコトルエン受容体拮抗薬:鼻の粘膜腫脹、鼻詰まりの原因となるロイコトルエンの働きを邪魔します。効果が出るまで2〜4週間ほど掛かる。

★トロンボキサンA2拮抗薬:鼻粘膜血管を刺激したり、粘膜を腫れさせ鼻詰まりをさせるトロンボキサンの働きを邪魔します。

★抗アセチルコリン薬:自律神経のうち、副交感神経を抑え、鼻水を減少させます。

★ステロイド(副腎皮質ホルモン剤):鼻の粘膜の炎症、目の結膜の炎症を鎮めます。また免疫系など組織の反応性を低下させる作用を示し、アレルギー反応も抑える働きをします。効果は非常に強力です。

★血管収縮薬:自律神経のうち、交感神経を刺激して、充血をとります。
点鼻薬として使用します。(充血は鼻の詰まりの原因となります)


☆代表的な症状別による薬の選択

くしゃみ 鼻水 鼻詰まり
抗ヒスタミン薬 ロイコトリエン受容体拮抗薬
Th2サイトカイン阻害薬 トロンボキサンA2拮抗薬
ケミカルメディエーター遊離抑制薬
(抗アレルギー薬)

Th2サイトカイン阻害薬
局所ステロイド(点眼液・点鼻液など)


☆花粉症の市販薬
市販の薬局・ドラッグストアなどで売られている花粉症薬は、大きく分けて
「第一世代ヒスタミン薬」「第二世代ヒスタミン薬(ケディカルメディエーター遊離抑制薬の一種に分類される)」「血管収縮薬」があります。

もっともよく使われる代表的なものが『第一世代抗ヒスタミン薬』です。
表記名では「マレイン酸クロルフェニラミン」・「マレイン酸カルビノキサミン」が多く使われています。
くしゃみや鼻水の出る方にオススメです。
急に花粉症の症状が出てしまった時にもすぐに対処ができる、即効性が高いものです。眠気の副作用に注意してください。
ですが、即効性はあるものの、効果の持続性は低いとされています。
そのため、カプセルのものも販売されており、こちらは1日2回など持続性が長くなっています。

『第二世代ヒスタミン薬(抗アレルギー薬)』は「塩酸アゼラスチン」「フマル酸ケトチフェン」「メキタジン」があります。
第一世代のヒスタミンほど即効性はありませんが、ヒスタミンだけではなく、その他の化学物質やロイコトルエンの働きを阻害する作用があります。
その為、鼻詰まりにも多少有効であるものもあります。
また第一世代のヒスタミンに比べて、眠気や口の渇きなどの副作用が少なくなっています。

『血管収縮薬』は点鼻薬で、成分名としては『ナファゾリン』『ベクトメタゾンプロピオン酸エステル』などがあります。
こちらは鼻詰まりに使用します。
即効性があり、副作用も少ないのですが、使用しすぎると逆に鼻詰まりを起こすので、必要な時にだけ最小限に使うようにしましょう。

もし迷ってしまう場合は、お店の薬剤師に症状を説明して相談しましょう。
しかし、どのお薬も一週間程度飲んでみて効果が感じられないようでしたら、
一度 病院で診察を受けることをオススメします。

やはり、その方が確実で、早くよく効くお薬が処方されます。

☆花粉症の初期療法

症状が現れる前、あるいは軽い症状のうちに「抗アレルギー薬」を飲み始める治療法のことを『初期療法』といいます。
こうすることで、症状が現れるのを抑えたり、現れても軽くすむ場合が多くなります。
抗アレルギー薬を予防として使用する場合は、花粉の飛散時期の1ヶ月〜2週間前くらいから飲み始めます。

☆お薬の副作用と使用上の注意
一番多いのは、抗ヒスタミン薬による眠気です。
服用後は眠くなりやすいので、車の運転には注意しましょう。
抗ヒスタミン薬と抗アセチルコリン薬により口の渇き、便秘が引き起こされます。

また症状が治まっても、花粉飛散シーズン中はお薬の服用を続けて下さい。

☆子供の花粉症治療
花粉症の薬のほとんどが安全性の高いものですから、子供が飲んでも問題ないと言われています。
しかし、症状や重篤度は人によって違いますので、必ず一度 お医者さんに診てもらいましょう。

☆妊婦の方の花粉症治療
妊娠初期(4週〜15週)の薬の投与は、出来るだけ避けるほうが望ましいとされてますが、安全性の高い花粉症薬も何種類かあります。
また、点眼薬や点鼻薬は、局所作用になりますので、血液中に入る薬の量が少なく安心です。
花粉症がひどい場合は無理に我慢せず、お医者さんに相談してみましょう。


☆自分で出来る花粉症対策☆

☆花粉症の一番効果的な対策は、花粉と接触しないことです。

自分で出来るセルフケアとしては
外出時にマスク、メガネをして、
原因の花粉を少しでも体の中に入れないようにすることが
とても大事です。

花粉症用のマスクでは花粉が約1/6、花粉症用のめがねでは
1/4程度に減少することが分かっています。
ゴーグルほどの目の保護機能がなくとも、いわゆるだてメガネでも
有効であることが実験によって示されています。
また室内に花粉を持ち込まないよう、
花粉の付着しにくい上着を着用したり、
帰宅時に玄関の外で花粉を落としてから入室する
などの対策も効果的です。
掃除も有効な対策です。床の花粉を舞い上げないよう、
掃除機ではなく濡れぞうきんによる拭き掃除が良いと言われています。

☆規則正しい生活を心がけましょう。
不規則な生活リズムや、睡眠不足、過労や精神的ストレスによる自律神経のバランスのくずれ
はアレルギー症状を悪化させることがあります。
高たんぱく・高脂肪の、いわゆる西洋風の食生活との関連も指摘されており、食事内容の見直しも有効である場合があります(和食がよいともいわれる)。
空気中の汚染物質は症状を悪化させることもあるといわれており、喫煙を避ける、副流煙・ディーゼル車や工場排気などの大気汚染をさけることも有効です。


★知ってますか? ペットの花粉症★
近年ではペットの花粉症も問題となっています。
イヌの花粉症は1998年に、ネコの花粉症は2000年に初めて報告されました。
ヒトの場合と同様、それ以前から存在したと推測されています。
特にイヌにおいては、ヒトのような鼻症状より毛が抜けるなどの皮膚症状が多く見られ、見た目にも悲惨な状態となることが多いといわれています。


☆減感作療法(抗原特異的免疫療法)

一般的にお薬が投与される、いわゆる『薬物療法』はあくまで鼻水や目の痒みなど症状に対する対処療法であり、花粉症を根本的に治療するものではありません。
それに対して、花粉のエキスを体内に少しずつ投与して体質を改善し、花粉症に掛からないようにする治療法に『
抗原特異的免疫療法』があります。

具体的には、まず血液検査などのテストにより、鼻炎の原因となっている抗原を特定します。
そして、抗原を希釈した少量のエキスを注射していきます。

期間についてですが、初めは週1〜2回から開始していきます。
そして皮下注射する抗原の濃度を少しずつ高くしながら治療法を続けます。
週に1〜2回を1〜3ヶ月、その後、月1回というように期間の間隔をあけます。
治療期間としては、3年から5年かかるとされており、長期的なものとなります。
治療の対象は小学生以上です。
副作用として、注射した部分の腫れや、頻度は低いのですが、ぜんそくや呼吸困難が 起こったり、ごくまれにアナフィラキシーショックが起こることもあるので注意が必要です。

気になる治療効果は、3年以上の治療を続けられた患者さんでは、ハウスダスト(ダニ)で80〜90%、スギ花粉でも70%前後の効果があると発表されています。
また、治療終了後4〜5年経過した時点も、80〜90%の効果の持続が認められています。
また完全には治らなくても、半数以上の方々は薬を減量できたり、あるいは薬を必要とせずとも生活には支障が見られなくなります。
抗原特異的免疫療法には、健康保険が適用されますが、治療を実施している機関は限られています。
また注射を打つのが大変・副作用があるなど患者さんの負担が大きく、持病があるなど患者さんによっては治療が受けられない場合もあります。
事前によく治療方法などを確認したうえで、治療を受けるかどうかを検討することが大切です。
現在の減感作療法は皮下注射のみですが、最近、口から抗原を摂取する方法が試みられており、まだ臨床試験の段階ですが、早ければ2〜3年のうちに実用化されるそうです。



お大事にどうぞ。

文責:堀ノ内病院 薬剤師・一戸瑞紀
埼玉県新座市堀ノ内2-9-31
TEL:048-481-5168


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