2011年7月号





*食中毒に注意しましょう*




☆夏は細菌による食中毒が増える時期です☆


毎年8月は厚生労働省によって「食品衛生月間」に定められてるように、
夏場(6月〜9月)は、細菌が原因となる食中毒が多く発生しています。

なぜ夏場に食中毒が増えるのかというと、その理由の一つが「
高温多湿な環境
食中毒を引き起こす細菌の多くは、室温(約20度)で活発に増殖し始め、人間の体温ぐらいの温度で増殖のスピードが最も速くなります。
また細菌の多くはジメっとした湿気を好むため、湿度も高くなる梅雨頃から食中毒が増え始めます。
そしてもう一つの理由は夏バテなどによる私達の体の「
抵抗力の低下」です。
また細菌が少量であれば、食べても胃液により殺菌され、食中毒は発病しません。
しかし、大量摂取した水で胃酸が薄まっていたり、胃薬によって胃酸の分泌が抑えられていると、十分に殺菌されず、食中毒になりやすくなることもあります。


☆食中毒の原因は??☆

食中毒の原因となる物質は、化学物質から自然毒まで多種多様ですが、
主な原因は「
細菌」と「ウイルス」です。
さらに細菌が原因となる食中毒は、大きく「
感染型」と「毒素型」に分けられます。

☆細菌性「感染型食中毒」
食品中の細菌が食べることで体内に入り、腸の中で増殖し、食中毒を起こします。

☆細菌性「毒素型食中毒」
食品中で増殖した細菌から発生する毒素を食べることによって食中毒を起こします。
この場合、加熱などによって細菌自体を殺菌しても、毒素が耐熱性であれば食中毒になってしまいます。

☆ウイルス性食中毒
ウイルスが原因となる食中毒です。
細菌性と違い、
冬に発生のピークを迎えます。

☆主な細菌・ウイルスの分類表☆












カンピロバクター
腸炎ビブリオ
病原性大腸菌(腸管出血性大腸菌O-157など)
サルモネラ属菌(サルモネラ・エンテリティディス)
ウェルシュ菌
リステリア菌
赤痢菌
コレラ菌



黄色ブドウ球菌
ボツリヌス菌
セレウス菌
ウイルス性食中毒 ノロウイルス
A型肝炎ウイルス



☆カンピロバクター

潜伏期間:2〜7日(平均2〜3日)
主な症状:腹痛、下痢(水様便で血便や粘液便を伴うこともある)、発熱(37・5〜38・5℃が多く、40℃以上の高熱はまれ)、頭痛、悪寒、だるさ、筋肉痛などが現れやすく、初期症状はかぜと間違われることもあります。
発病しても、一週間程度で自然に回復します。
原因食品:肉(特に鶏肉から検出されやすい)、卵、レバ刺し
その他の特徴:発生ピークは5月〜7月。
通常の加熱調理(中心部が75度以上で1分間以上加熱する)で殺菌可能です。
また、カンピロバクターに感染した数週間後に、手足の麻痺や顔面神経麻痺、呼吸困難などを起こす「ギラン・バレー症候群」を発症する場合があることが指摘されています。


☆腸炎ビブリオ

発病までの時間:平均10〜24時間
症状:上腹部の不快感で始まることが多く38度程度の熱、 腹痛、激しい下痢、吐嘔
原因食品:夏期に沿岸で獲れた魚介類、さしみ
その他の特徴:発生ピークは6月〜10月。
海水中に生息します。
水道水では増殖できず、塩分2〜5%でよく発育。 増殖がきわめて速いです。
どの症状も1〜2日、長くとも1週程度で治まることが多いです。


☆病原性大腸菌

潜伏期間:12〜72時間(菌種により異なる)
症状:腹痛、嘔吐、下痢、発熱(37.5度以下がほとんど)
原因食品:家畜などの糞便に汚染された食肉、水
その他の特徴:大腸菌は、普段から動物や人の腸内にいて、大半は無害です。
このうち、下痢などをおこす一部の菌は、病原性大腸菌と呼ばれています。
特に、毒素を作って出血をともなう下痢をおこすものを腸管出血性大腸菌(O157、O111など)といい、三類感染症に指定されています。
いずれも通常の加熱調理(中心部75度以上で1分間以上加熱)で殺菌可能です。
2011年5月にドイツで流行したO104も腸管出血性大腸菌です。
日本国内では、2000年以降、O104は検出されていません。


☆サルモネラ

潜伏期間:8〜48時間(菌種により異なる)
症状:急な発熱(40度を超えることもあり)、嘔吐、腹痛、激しい下痢(便に血が混じることもある)
原因食品:加熱不足の卵・食肉・魚、自家製マヨネーズ、洋生菓子
その他の特徴:腹痛はかなり強い痛みで、くり返し襲ってきます。
下痢は食中毒の中ではもっとも程度の強い部類に属し、便は水様のことが多く、多少緑色がかっていることがあります。


☆ウェルシュ菌

潜伏期間:8〜18時間(平均12時間以内)
症状:腹痛、下痢(血が混じることもある)、嘔吐
熱はほとんどみられません。下痢は1日数回で1〜2日で治まります。
原因食品:食肉・魚介類・野菜を使用した加熱調理食品
とくに大量調理されたカレー、弁当、スープなど
その他の特徴:熱に強い芽胞を形成し、通常の加熱調理では殺菌できません。
仕出し弁当や学校給食で、大規模な食中毒事件を起こすことが多くなっています。
逆に、家庭での発生は他に比べて少ないことが特徴的です。


☆リステリア菌

潜伏期間:12時間から91日間までと広範囲
症状:倦怠感、弱い発熱を伴うインフルエンザ様症状。
重篤な場合は、脳脊髄膜炎などの神経系統症状も出現します。
原因食品:乳製品、食肉などの動物性食品、ソフトチーズ
その他の特徴:0度の低温でも増殖します。
健康な大人の場合は、ほとんどが無症状で終わり、治療の必要はありません。
ですが、妊婦(胎児)、新生児、乳幼児、高齢者および基礎疾患を持つ人の場合は、
重症になりやすく、髄膜炎、敗血症、流産を起こすことがあるので注意が必要です。


☆黄色ブドウ球菌

潜伏期間:1〜5時間(平均3時間)
症状:吐き気、嘔吐、腹痛、下痢
原因食品:おにぎり、弁当、調理パン、菓子類
その他の特徴:普段から、人や動物の皮膚にいる常在菌です。
しかし、この菌が食品中に入ると毒素を産生します。
特に、傷口や化膿部分には黄色ブドウ球菌が多いので気をつけましょう。
そのため、手袋の予防が効果的といわれています。
菌そのものは熱に弱いですが、菌が作る毒素は熱に強く(100度で30分間の加熱でも無毒化できません)一度毒素ができてしまうと加熱しても食中毒は防げません。
冷蔵温度域(10度以下)では、毒素を作り出せませんので冷蔵保存が有効です。


☆ボツリヌス菌

潜伏期間平均8〜36時間
症状:めまい、頭痛、言葉が上手く話せない、視力低下、呼吸困難
   乳児の場合は突然の便秘、元気がなくなる、よだれの増加、眼球運動の麻痺
原因食品:食肉・魚肉・野菜類を材料とした発酵食品、びん詰、缶詰、レトルト食品
その他の特徴:自然界に存在する毒素としては最強。
菌そのものに毒性はありませんが、熱に強い芽胞を形成し、通常の加熱調理では殺菌できません。
しかし、食中毒の原因である毒素は、熱に弱いので、90度以上では数分の加熱で毒性は消失します。
酸素があると発育できないため、中身が空気に触れない缶詰やびん詰が原因になりやすいです。
1歳以下の乳児では、ハチミツに注意!
乳児の場合には、乳児ボツリヌス症というのがあります。
これは1歳以下の乳児に、ハチミツを食べさせると、ハチミツの中に混入しているボツリヌス菌が乳児の腸内で増殖して毒素を産生するために起こってくる病気です。
成人では腸内に正常細菌叢があるため、菌の増殖は抑えられ、問題ありません。


☆セレウス菌
※毒素の違いにより、「下痢型」と「嘔吐型」の2つのタイプに分類されます。

潜伏期間:嘔吐型は1〜5時間
     下痢型は8〜15時間
症状:嘔吐型は吐き気、嘔吐、腹痛
   下痢型は腹痛、下痢
原因食品:嘔吐型は焼き飯やピラフなどの米飯類、パスタなどのめん類
     下痢型は食肉などを原料としたスープ類、弁当、プリン
その他の特徴:日本では、ほとんどが嘔吐型です。
どちらの型の食中毒も症状としては軽く、1〜2日で自然に回復します。
菌そのものは熱に強い芽胞を形成し、通常の加熱処理では殺菌できません。
嘔吐毒素は、熱に強く、126度90分間でも無毒化できないので注意が必要です。
下痢毒素は、56℃5分間で無毒化します。


☆ノロウイルス

潜伏期間:24〜48時間程度
症状:嘔吐、下痢
原因食品:二枚貝
その他の特徴:ほぼ毎年冬に日本で流行します。
近年、患者数では第1位となっています。
多くは2〜3日で自然に回復します。
ですが、その後も2〜3週間にわたり、糞便中にウイルスを排出し続けますので、調理などの際には十分な注意が必要です。
アルコール消毒は無効なため、流水と石けんで念入りに手洗いをすること、または次亜塩素酸ナトリウムで消毒しましょう。
一般的に食品の中心温度85度以上で1分間以上の加熱を行えば、感染性はなくなるとされています。
またノロウイルスによる食中毒では、食品だけではなく、患者の便や嘔吐物によってウイルスがヒトに移り、それが食品を汚染したために発生したという事例も多く発生しています。
5類感染症であり、感染が疑われた場合、最寄りの保健所やかかりつけの医師にご相談下さい。
また、保育園、学校や高齢者の施設等で発生したときは早く診断を確定し、適切な対症療法を行うとともに、感染経路を調べ、感染の拡大を防ぐことが重要ですので、速やかに最寄りの保健所にご相談下さい。


☆A型肝炎ウイルス

潜伏期間:15〜50日(平均30日)
症状:下痢、発熱(最初38℃以上の熱が3、4日続く)、倦怠感、吐き気、嘔吐
原因食品:二枚貝、水
その他の特徴:肝炎ウイルスはAからEの5種類に分けられます。
A型肝炎ウイルスによる肝炎は、慢性化することはほとんどありません。
現在、国内における感染事例はあまり報告されていません。



.  水分補給には経口補水液を!!
.
. .
.
嘔吐や下痢の時など、体内から急に水分が失われた場合の水分補給には、真水よりも電解質を含んだものが良いことはよく知られていますね。
その際、イオン飲料(いわゆるスポーツドリンク)よりも良いとされているのが、経口補水液です。
一般的にスポーツドリンクは、エネルギーを補給する目的で炭水化物が添加されていたり、味を調えるため大量の糖分を含んでいるからです。
糖分は多すぎると、逆に下痢がひどくなったり吐き気を誘発してしまいます。
経口補水液は、スポーツドリンクに比べて、糖分は低め、塩分は少し濃いめという風に、WHOの基準に準じて設定してあります。
その分、味はちょっと良くありませんが・・・。
これからの季節、熱中症の時にもオススメです!

☆自宅で作れる経口補水液☆
水:500mL(一度沸騰して冷ましたものが理想)
食塩:小さじ1/2杯(1.5〜2.5g)
砂糖:砂糖小さじ3杯、または大さじ1杯(7〜9g)
以上を空のペットボトルなどの容器に入れ、よくかき混ぜるだけ。
さらにレモン少々を加えると、カリウムの補充と味付けにもなります。



☆予防と対策☆


 食品をより安全にする5つの鍵(国立医薬品食品衛生研究所)

   第1の鍵:清潔に保つ
   第2の鍵:生の食品と加熱済みの食品とを分ける
   第3の鍵:よく加熱する
   第4の鍵:安全な温度に保つ
   第5の鍵:安全な水と原材料を使う


☆基本はやっぱり手洗い!
手にはさまざまな雑菌がついています。
食中毒の原因菌が食べ物に付かないように、
料理の前には必ず手を洗いましょう。
手に付着した細菌やウイルスは、水で洗うだけでは取り除けません。
指の間や爪の中、手首の方まで、せっけんを使って丁寧に洗いましょう。

☆調理器具の殺菌

細菌に汚染された魚や肉を食べて起きる食中毒を「一次汚染」といいます。
それに対して、これらの魚、肉などを調理した包丁やまな板等の器具から、他の食品に細菌が付着することを「二次汚染」といいます。
食中毒は、この
「二次汚染」によって多く発生します。
そのため、調理器具の殺菌や使い分けがとても大事になってきます。
肉などを焼くの場合には、生の肉をつかむ箸と焼けた肉をつかむ箸は別のものにすると安全です。
また生の肉や魚を切った包丁やまな板で、サラダなど生のままで食べるための野菜を切るのは絶対に避けましょう。
やむをえない場合は、包丁やまな板を洗剤でよく洗ってから、熱湯をかけて殺菌しましょう。
〜調理器具の殺菌例〜
例1☆洗剤(台所用合成洗剤)洗浄→水洗浄→湯(55度)すすぎ→沸騰水をかける
例2☆洗剤(台所用合成洗剤)洗浄→水洗浄→湯(55度)すすぎ→次亜塩素酸ナトリウム(濃度200ppm、1時間浸漬)

☆保存は冷蔵庫で!
細菌の多くは高温多湿な環境で増殖が活発になります。
その反面、10度以下では増殖がゆっくりとなります。
そしてマイナス15度以下では増殖が停止します。
つまり、
食べ物に付着した菌を増やさないためには、低温で保存することがとても重要です。
食品は購入後、できるだけ早く冷蔵庫に入れるようにしましょう。
しかし、冷蔵庫に入れても、細菌はゆっくりと増殖しますので、冷蔵庫を過信せずに
早めに食べることが大事です。

☆十分に加熱しましょう!

ほとんどの細菌やウイルスは加熱によって死滅しますので、加熱して食べれば安全です(一部、耐熱性の毒素・芽胞菌など熱に強いものもあります!!)
一般的には、
75度で1分間以上の加熱で殺菌されます。
電子レンジを使う料理の場合も同様。
食品の中心部にまで75度の熱が伝わった状態で、1分以上加熱出来ていれば大丈夫です。
そのため、熱の伝わりにくいものは、時々かき混ぜるようにしましょう。
しかし、食べ物を単に温めるだけの温度では、殺菌出来ないので注意して下さい。

☆食中毒かもしれない・・・と思ったら?
下痢や嘔吐をしたら、理由に関わらず、まずはしっかり水分を摂りましょう。
食中毒の時は、原因物質をなるべく早く体の外へ出してしまうことが大切です。
吐き気止めや下痢止めなどの薬を飲むと、逆にそれらが体内から出ていかないため、
症状が長引いたり、重症化することがあります。
自分で勝手に判断して薬を飲まないで、まずはお医者さんに診てもらいましょう。
食べたもの、食品の包装、店のレシート、吐いた物が残っていたら保管しましょう。
食中毒の原因を調べたりするのに使います。

☆家族にうつさないようにするには?
うつらない・うつさないために、特に調理の前、食事の前、トイレの後、便や吐いた物にさわった後には、
よく手を洗いましょう。
食中毒にかかっているおそれのある人は調理をひかえましょう。
食中毒にかかっているおそれのある人が使った食器や調理器具は、洗剤で洗うだけでなく、沸騰した熱湯をかけて消毒しましょう。
食中毒にかかっているおそれのある人の下着・衣類は、別に洗いましょう。
食中毒にかかっているおそれのある人は、家族の後に風呂に入るようにしましょう。
湯舟のお湯は毎日変えましょう。
家族が食中毒にかかったら、風呂の残り湯を洗濯に使うのはやめましょう。

              




お大事にどうぞ。

堀ノ内病院 薬局
埼玉県新座市堀ノ内2-9-31
TEL:048-481-5168

知っとくトップ

このページのトップへ戻る


ホームへ戻る