2011年5月号





*予防接種のお話*



☆予防接種はどうして必要なの?☆ 
看護師

人間には生まれつき「
免疫(細菌やウイルスに対する抵抗力)」というものが備わってます。
これは、自分以外の異物(病原体=細菌やウイルスなど)が体内に侵入する(=感染)と、それを排除するために「抗体」と呼ばれるたんぱく質を作ったり、体内の「リンパ球」を増やすことで、異物を体内から取り除こうとする働きのことです。
しかし、最初の時は免疫によって抗体やリンパ球が作られるまで時間が掛かってしまいます。
そのため、初めて病気に感染した場合は、この免疫が間に合わず、重い症状が出てしまうことが多いのです。
2回目以降は、同じ病原体に感染しても、以前に感染した時の記憶が残っているため、発病する前に素早く免疫が働き、病原体を撃退することが出来ます。
現在は、わざと毒性を弱めたり、失わせた病原体や毒素を接種することで、
発病させることなく、免疫反応の記憶だけを残すことが可能です。
こうしておけば、本当に病原体が侵入してきても、素早く免疫機能が働いて、発病しにくくなります。
このように
病気を予防する目的で、あらかじめワクチンを接種することを予防接種といいます。

☆ワクチンとは?

病気の予防のために使用する医薬品のこと。

ワクチンは「
生ワクチン」「不活化ワクチン」「トキソイド」の3種類に分かれます。
主な特徴は以下の通りです。

☆生ワクチン
毒性や発病性を弱めた病原体そのもののワクチン。
生きている病原体を使うため、生ワクチンと呼ばれる。
一般に不活化ワクチンに比べて、免疫力が強く、免疫の持続期間も長いです。
しかし弱いとはいえ、生きている病原体を使うため、接種後、体内で毒性を弱めた細菌やウイルスの増殖が始まり、それぞれのワクチンの性質に応じて、発熱や発疹の軽い症状が出ることがあります。
次に種類の違うワクチンを接種する場合、27日間以上間隔をあける必要があります。
(例:1日にワクチン接種した場合、29日に次の接種が可能)

☆不活化ワクチン
死んで毒性を失った病原体の成分のみで作られたワクチン。
体内で増殖することがないので、接種後の発熱や発疹といった症状が出る可能性は低いですが、1回接種しただけでは必要な免疫を獲得できないため、また免疫の続く期間が短いことがあり、数回の接種が必要です。
次に違う種類のワクチンを接種する場合は6日間以上間隔をあける必要があります。
(例:1日にワクチン接種した場合、8日に次の接種が可能)

☆トキソイド
病原体が発生する毒素のみを取り出し、さらにそれを無毒化したワクチンです。
不活化ワクチンと同じく、ワクチンの効果は弱いため、数回の接種が必要になることが多いです。
次に違う種類のワクチンを接種する場合は6日間以上間隔をあける必要があります。
(例:1日にワクチン接種した場合、8日に次の接種が可能)

生ワクチン →27日間以上→ 生ワクチン →27日間以上→ 生ワクチン
不活化ワクチン →6日間以上→ →27日間以上→ 不活化ワクチン

生ワクチン →27日間以上→ 不活化ワクチン →6日間以上→ 生ワクチン
不活化ワクチン →6日間以上→ →6日間以上→ 不活化ワクチン

予防接種は単独で行うのが基本ですが、
2種類以上の種類の違うワクチンについて、医者が必要と判断すれば、同日に接種することが可能なものもあります。
その場合、接種箇所は2.5cm以上離れていれば良いとされています。
すでに、海外では同時接種が一般的です。

ワクチンの同時接種については、日本小児科学会が次のようにまとめています。
1.複数のワクチン(生ワクチンを含む)を同時に接種して、それぞれのワクチンに対する有効性について、お互いのワクチンによる干渉はない。
2.複数のワクチン(生ワクチンを含む)を同時に接種して、それぞれのワクチンの有害事象、副反応の頻度が上がることはない。
3.同時接種において、接種できるワクチン(生ワクチンを含む)の本数に原則制限はない。
ですが、やっぱり大事なお子さんのこと。不安はあると思います。
心配な方は、接種前に医師とよく相談し、納得のいく方法で接種することをお勧めします。

               予防接種1


 気をつけよう!予防接種の副反応!!

ワクチンは弱毒化された病原体や毒素を含み、他に安定剤や防腐剤が添加されています。
これらは体にとって異物ですから、予防接種後に
副反応・免疫反応と呼ばれる症状が現れることがあります。
副反応の一つで、もっとも多いのが、
通常30分以内(最低24時間以内)におこる即時型の反応で、じん麻疹・手足のしびれ・動悸・めまい・呼吸困難・血圧低下などの症状がでるアナフィラキシーショックがあります。
その予防・対応のため
予防接種後30分は、病院で休んでから帰るようにしましょう。
またワクチンの種類によっても異なりますが、軽い発熱、接種局所の発赤・腫れ、しこり、発疹などが比較的高い頻度(数%から数十%)で認められることがあります。
しかし、元気で機嫌もよければ、様子を見て良いと思われます。
通常、数日以内に自然に改善されます。
ですが、
接種を受けた腕が腫れ上がる、痛みがひどい、高熱、ぐったりしたり、ひきつけなどの症状が出た場合には、医者の診察を受けてください。
ワクチンの種類によっては、極めてまれ(百万から数百万人に1人程度)に脳炎や神経障害などの重い副反応が生じることもあります。
このような場合で、予防接種法に基づく定期の予防接種によるものと認定した時は、予防接種法に基づく健康被害救済の給付の対象となります。



☆定期接種と任意接種

☆定期接種
感染すると重症化したり、感染力が強く集団感染するおそれがあるため、
国の法律(予防接種法と結核予防法)で定められている予防接種です。
一定の年齢になったら予防接種を受けることを強くすすめられています。
ほとんどの場合、対象年齢の範囲であれば公費負担で受けることができます。
接種対象年齢を過ぎている場合も、自己負担で接種することは可能です。

☆任意接種
受けるか受けないかは個人の判断にまかされている予防接種です。
受ける場合、希望者は各自が医療機関で受けます。
基本的に有料=全額自己負担です。
(B型肝炎ワクチンは母子感染予防の場合のみ健康保険が適用になります)


定期接種
生ワクチン

   
BCG
  ポリオ
  麻疹風疹混合(MR)
  麻 疹(はしか)
  風 疹


不活化ワクチン
  
三種混合ワクチン(DPT)/二種混合ワクチン(DT)
  日本脳炎
  インフルエンザ(65歳以上、一部の60-64歳の対象者)

任意接種

生ワクチン

  
流行性耳下腺炎(おたふくかぜ)
  水 痘
  黄 熱



不活化ワクチン
  
B型肝炎
  インフルエンザ(定期接種の対象外者)
  A型肝炎
  狂犬病
  コレラ
  肺炎球菌
  ワイル病秋やみ
  b型インフルエンザ菌(Hibワクチン)
  HPV(ヒトパピローマウイルス)



トキソイド
   破傷風トキソイド
  ジフテリアトキソイド





☆予防接種のスケジュール
ワクチンによって、接種する年齢や回数・次の接種までの間隔が違います。
たとえば、三種混合(DPT)の1回目と2回目の間なら3〜8週間以上、ポリオなら6週間以上です。
時期が来たら、出来るだけ早く受けるようにしましょう。
予防接種は、病気にかかる前に受けるもの。かかってしまってからでは遅いのです。
例えば、三種混合(DPT)は生後3か月になったらすぐに受ける。
麻疹・風疹ワクチンは1歳のお誕生日がきたら、すぐに受ける、等。
お子さんにあったスケジュールを立てて、もっともよい時期に接種できるようにしましょう。

☆定期接種の主な目安表☆

年齢 種類 回数 公費の対象年齢 他の
予防接種
との
接種間隔
生後
3ヵ月
すぎたら
BCG 1回 6カ月未満 27日以上
ポリオ 41日以上
あけて2回
7歳5カ月まで
三種混合(DPT)
・ジフテリア
・百日咳
・破傷風
1期初回 6〜28日の
間隔で3回
7歳5カ月まで
※なるべく1歳までに
受けましょう
6日以上
1期追加 1回 7歳5カ月まで
※初回終了後1年〜1年半
1歳
すぎたら
麻疹・風疹
(混合ワクチン)
1期 1回 1歳〜2歳未満 27日以上
3歳
すぎたら
日本脳炎 1期初回 6〜28日の
間隔で2回
7歳5カ月まで 6日以上
1期追加 1回 7歳5カ月まで
※初回終了後1年
就学前
(年長)
麻疹・風疹
(混合ワクチン)
2期 1回 小学校就学前の
1年間
のうちに
27日以上
小学生 日本脳炎 2期 1回 9歳〜13歳未満
6日以上
三種混合(DPT)
・ジフテリア
・百日咳
・破傷風
2期 1回 11歳〜13歳未満 6日以上
中学生 麻疹・風疹
(混合ワクチン)
3期 1回 中学1年生 27日以上
高校生 麻疹・風疹
(混合ワクチン)
4期 1回 高校3年生 27日以上

また、日本小児科学会や国立感染症研究所感染症情報センターが
定期・任意予防接種の予定表を提示しています。
こちらもご参考にどうぞ。
☆日本小児科学会HP
http://www.jpeds.or.jp/index.html

☆国立感染症研究所感染症情報センター
http://idsc.nih.go.jp/index-j.html



お大事にどうぞ。

文責:堀ノ内病院 薬剤師・一戸瑞紀
埼玉県新座市堀ノ内2-9-31
TEL:048-481-5168


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